回転ベゼルの使いかた

時計の文字板を丸く囲むように設けられた可動式のリングを、回転ベゼルといいます。回転ベゼルに刻まれた目盛りには様々な種類があり、時刻を示す時計の針や、文字板に刻まれた目盛りと合わせて使うことで、様々な用途に役立つ機能を提供します。回転ベゼルは、時計の風防ガラスの内側にある場合と外側にある場合とがあります。ここでは、いくつかの種類の回転ベゼルとその使いかたを紹介します。

方位計機能の使い方(北半球の場合)

方位計機能の使い方(北半球の場合)

太陽の位置と方位計でおおよその方位を知ることができます。但し、緯度や季節によってはズレが生じることがあります。

1.時計を水平にして時針を太陽の方向に合せます。
この時、時針の指す方向と、文字板の中心と12時を結ぶ線の方向の中間の方向が南の方角にあたります。

2.回転リング(方位計)を回して“S”を南の方角に合せると、おおよその全方位を知る事ができます。

タキメーター機能の使いかた

タキメーター機能の使い方

タキメーター機能とは、自動車などのおおよその走行時速を測る機能です。

タキメーター機能を使用して1kmを何秒(測定可能範囲60秒以内)で走行したかによって、その区間のおおよその平均時速を求めることができます。

1.計測開始と同時にクロノグラフをスタートさせます。

2.1km走行したときにクロノグラフを止めます。この時の秒針位置で、その区間のおおよその平均時速が分かります。図例では1kmを45秒で走行しており、平均時速は約80kmということが分かります。

時間計測機能の使いかた

時間計測機能の使い方

回転ベゼルを使用して経過時間の計測ができます。

1.計測開始時に回転ベゼルのゼロマーク "▼" を、分針の位置に合せます。

2.以後、分針の指す回転ベゼル上の目盛りを読み取れば経過時間が求められます。図例では、経過時間が10分であることが分かります。

<注意>
ISO、JIS規格に則ったダイバーズウオッチでは、回転ベゼルは誤動作防止のため、反時計方向のみに回転します。

ヨット計測機能の使いかた

はじめに

通常のヨットレースでは下図のようなマークが設定され、決められた順番にマークをいかに早く周るかで順位を競います。方位は北=0°、東=90°、南=180°、西=270°というように角度で表されます。またヨットが中心軸より右から風を受けて走る状態をスターボードと呼び、逆にヨットが中心軸より左から風を受けて走る状態をポートと呼びます。

ケース1

ケース1

スタート前に風上マークの位置をコンパスで読み取り、風上マークと時計の12時位置の"▲"を合せます。

風上マークからサイドマークへ向かうコース(スターボードリーチ/STARBOAD REACH)は左下の緑の"▲"の示す方向にありますので、悪天候でマークが見えなくてもその方向にヨットを走らせればマークに到達できます。

同様にサイドマークから風下マークへ向かうコース(ポートリーチ/PORT REACH)も、右下の赤の"▲"の示す方向にヨットを走らせれば風下マークへ到達できます。

同様に風上マークから風下マークへ向かう時も、6時位置の"▲"の数字を読めば方向を知ることができます。

<注意>
ただし、これはθが45°に設定された場合に有効であり、θ=60°のようにサイドマークが横に張り出した場合は緑、赤の各々の "▲" の上の数字を、又θ=30°のようにサイドマークが中に入り込んだ場合は緑、赤の各々の"▲"の下の数字を読まなければ正確なコースが引けません。

ケース2

ケース2

ヨットは通常、風に対して 40°~45°くらいまで風上に向かって走ることができます。

レースの前に風上いっぱいまで走らせて、その角度を右上の赤(または左上の緑)に合わせておけば、スタートしてからの風のシフト(ふれ)を読みとることができます。これにより、自分のヨットを有利な方向へもっていくことが可能です。

ケース3

ケース3

スタートラインの傾きを知るのに使用します。

通常スタートラインは風向きに対して直角に設定されますが、風は常に変化していますので、完全に直角に設定されることはほとんどありません。

そこで風向きに12時位置の“▲”を合わせ、片方のサイドに向かってヨットを走らせます。このときのヨットの走っている方向が、3時位置(または9時位置)の白い線より+(プラス)側であれば、現在向かっている方向のマーク寄りからスタートした方が有利ということになります。逆に、-(マイナス)側であれば、今向かっているマークの反対側が有利ということになります。

レースにおいて以上の3つの機能を駆使することにより、自分のヨットをより有利なポジションにもってゆくことが可能になります。

時差換算機能の使いかた

時差換算機能の使い方

回転リング上に、世界の主要都市名が時差順に表示されています。(注意 1.)
この回転リングで、各都市のおおよその時刻を読み取ることができます。

使用例:東京にいてパリの時刻を知りたい場合(時刻は東京時刻にセットされているとします)。

1.現在時刻(時)を 24時間制の時刻に読み替えます。
(午後 10時 → 22時)

2.回転リング上の都市名(東京=TYO)を、24時間目盛りの 22時に合せます。(注意 2.)

3.回転リング上に表示された都市名の位置に対応する 24時間目盛りから、パリ(=PAR)の時刻が14時であることが分かります。
なお、主要都市の時差は1時間単位ですので "分" はそのままお読みください。ただし、サマータイムは考慮しておりません。

同様にして他の都市の時刻も読み取ることができます。

<注意>

注意1.モデルによっては表示都市名が異なる場合があります。

注意2.モデルによっては、デザイン上の制約により24時間目盛が表示されてないものがあります。この場合は文字板の時間目盛を1周24時間に読み替えてご使用ください。

一般的な計算での使い方例

掛け算のしかた

掛け算のしかた

Q.
20 × 15

A.
外側のスケールの20を、内側にスケールの10に合せます。内側のスケールの15に対応する外側のスケールの目盛りから30を読み取り、位取りを考えて300を求めます。

割り算のしかた

割り算のしかた

Q.
250 ÷ 20

A.
外側のスケールの25を、内側にスケールの20に合せます。内側のスケールの 10 に対応する外側のスケールの目盛りから12.5を読み取り、位取りを考えて12.5を求めます。

比例の見方

比例の見方

Q.
30/20 = 60/A

A.
外側のスケールの30を内側のスケールの20に合せます。外側のスケールの60に対応する内側のスケールから40を読み取ります。なお、このスケール上のすべての位置で、"外側:内側"の比が"30:20"になっていますので、他の比例値も求められます。

体積換算のしかた

体積換算のしかた

フュエルポンド(FUEL.LBS.)/米ガロン(U.S.GAL.)/英ガロン(IMP.GAL.)/リッター(LITERS.)の換算ができます。

Q.
13.1フュエルポンドは何米ガロン? 何英ガロン? 何リッター?(1フュエルポンドを 0.167米ガロン/0.139英ガロン/0.632リッターとします)。

A.
外側スケールのFUEL.LBS.の"▼"を内側スケールの換算したい数値13.1に合わせます。外側スケールのU.S.GAL.の "▼"に対応する数値を読み取り、位取りをして 2.18米ガロンを求めます。同様にしてIMP.GAL.、LITERS.の"▼"に対応する値を読み、1.82英ガロン/8.28リッターを読み取ります。

重量換算のしかた

重量換算のしかた

オイルポンド(OIL LBS.)/米ガロン(US.GAL.)/英ガロン(IMP.GAL.)/リッター(LITERS.)の換算ができます。

Q.
16.4オイルポンドは何米ガロン? 何英ガロン? 何リッター? (1オイルポンドを 0.133米ガロン/0.111英ガロン/0.503リッターとします)。

A.
外側スケールのOIL LBS.の"▼"を内側スケールの換算したい数値16.4に合せます。外側スケールのU.S.GAL.の"▼"に対応する数値を読み取り、位取りをして2.18 米ガロンを求めます。同様にしてIMP.GAL.、LITERS.の "▼"に対応する値を読み取ります。

距離換算のしかた

距離換算のしかた

キロメートル(KM.)、/マイル(STAT.)、/海里(NAUT.)の換算ができます。

Q.
1マイルは何キロメートル? また、何海里に相当する?

A.
外側スケールの10を内側スケールのSTAT.の"▲"に合せます。この時、内側スケールのKMの"▲"に対応する目盛り16を読み取り、位取りをし1.6kmを求めます。同様にNAUTの"▲"に対応した86.6(0.866海里)を求めます。

燃料換算のしかた

燃料換算のしかた

リッター(LITERS.)、/米ガロン(US.GAL.)、/英ガロン(IMP.GAL.)の換算ができます。

Q.
16.8米ガロンは何リッター?

A.
外側スケールのU.S.GAL.の"▼"を、内側スケール(対数尺)の換算したい数値16.8に合せます。
このとき外側スケールのLITERS.の"▼"に対応する数値(約63.5)が換算値として求められます (1米ガロン=3.78541リッター)。

モータースポーツにおける使いかた

所要時間の計算

所要時間の計算

Q.
時速80kmの自動車で、400kmを走行するのに必要な時間は?

A.
内側のスケールのSPEED INDEX"▲"に、外側のスケールの80を合せます。このとき、外側のスケールの40に対応する内側のスケールより、5:00(5時間)が求められます。

時速の計算

時速の計算

Q.
180kmの距離を、所用時間2時間30分で走ったときの時速は?

A.
内側のスケールの2:30に、外側のスケールの18を合せます。このとき内側のスケールのSPEED INDEX "▲"に対応する外側のスケールから72(km)が求められます。

走行距離の計算

走行距離の計算

Q.
時速60kmで1時間20分走ったときの走行距離は?

A.
内側のスケールのSPEED INDEX"▲"に、外側のスケールの60を合せます。このとき、内側のスケールの1:20に対応する80(km)が求められます。

燃料消費率(時間当たり消費量)の計算

燃料消費率(時間当たり消費量)の計算

Q.
走行時間5時間00分、燃料消費量30リットルのときの燃料消費率(リットル/時)は?

A.
内側のスケールの5:00に外側のスケールの30を合せます。このときSPEED INDEX "▲"に対応する外側のスケールから60 (6リットル/時)が求められます。

燃料消費量の計算

燃料消費量の計算

Q.
燃料消費率7リットル/時の車で、5時間00分を走行するときの所要燃料は?

A.
内側のスケールのSPEED INDEX"▲"に、外側のスケールの70を合せます。このとき5:00に対応する35(リットル)が求められます。

走行可能時間の計算

走行可能時間の計算

Q.
燃料消費率8リットル/時の車で、使用可能燃料40リットルの時の走行可能時間は?

A.
内側のスケールのSPEED INDEX"▲"に、外側のスケールの80を合せます。このとき外側のスケールの40に対応する5:00(5時間)が求められます。

スカイスポーツにおける使いかた

所要時間の計算

所要時間の計算

Q.
速力180ktの飛行機で450カイリの距離を飛行するのに必要な時間は?

A.
内側のスケールのSPEED INDEX"▲"に、外側のスケールの18を合せます。このとき、外側のスケールの 45に対応する内側のスケールより2:30(2時間30分)が求められます。

飛行距離の計算

飛行距離の計算

Q.
時速210ktで40分飛行したときの飛行距離は?

A.
内側のスケールの SPEED INDEX"▲"に、外側のスケールの21を合せます。このとき、内側のスケールの40に対応する 14(140カイリ)が求められます。

燃料消費率(時間当たり消費量)の計算

燃料消費率(時間当たり消費量)の計算

Q.
飛行時間30分燃料消費量120ガロンのときの燃料消費率(ガロン/時)は?

A.
外側のスケールの12を、内側のスケールの30に合せます。このとき、SPEED INDEX"▲"に対応する24(240ガロン/時)が求められます。

燃料消費量の計算

燃料消費量の計算

Q.
燃料消費率250ガロン/時の飛行機で6時間飛行するときに必要な燃料は?

A.
内側のスケールの5:00に外側のスケールの30を合せます。このときSPEED INDEX "▲"に対応する外側のスケールから60 (6リットル/時)が求められます。

飛行可能時間の計算

飛行可能時間の計算

Q.
燃料消費率220ガロン/時の飛行機で、使用可能燃料550ガロンのときの飛行可能時間は?

A.
内側のスケールのSPEED INDEX"▲"に、外側のスケールの22を合せます。このとき外側のスケールの55に対応する2:30(2時間30分)が求められます。